額縁の歴史を探ろうとするのはなかなか大変、と言われています。なぜなら額縁が持つ宿命ともいえる芸術性のある動産だからではないでしょうか。額縁の起源としてよく引き合いに出されれ祭壇画のように板絵と一体になっていた頃ならともかく、そのうち絵画と分離独立をはたしたものの、ある意味家具の一つのような、一方で絵画の付属品的なものと見られ、時には解体され姿をかえて別の作品を収めるようにかったり、少し手の込んだ作品ともなれば、コレクターの対象としてやり取りされたりと、まさに動産として一つ所に落ち着いていることがなかったというのは実態かもしれません。これは現存する昔つくられた額縁が保存されていることの多いとされる美術館でさえ例外ではないでしょう。